9月10日に那須高原で行われたRapha Prestigeに参加してきました。
今回初めて参加をさせていただきました。最初から言ってしまいますが本当に素晴らしいイベントです。
普段、僕がイベントというとレースのイメージしかありませんが、prestigeはレースのように速さを競うものではありません。ただロングライドイベントではありません。
ものすごく自転車の本来の楽しさが詰まったイベントでした。いつもトレーニングばかりしていてガチガチになって自転車の楽しさを忘れていた僕を骨抜きにしてしまう楽しい1日でした。
Rapha Prestigeってなによ?
自転車が好きな人であれば、Raphaは聞いたことがある人も多いと思います。
サイクルウェアのメーカーですね。2016年まではTeamSKYのスポンサーもしています。ちなみに僕も好きで結構愛用しています。
このRaphaが主催するイベントで、prestigeは激坂ありグラベルありの結構過酷なコースを5人1チームで完走を目指すものです。今回は那須高原で169km3600up。グラベルも30kmほど含まれていました。
雰囲気がRaphaらしかったり、オシャレなジャージだったり、自転車も鉄フレームが多かったり。もう雰囲気が幸せ感たっぷりなんです。もう雰囲気は言葉では伝え切れないので動画をどうぞ。
楽しそうでしょ?
今この文章を書きながら、思い出して幸せになってしまってやばい感じです。
でも走るコースは初心者では絶対に完走できないですし、エイドやサポートもほぼ無いので気軽に参加していいものではありません。過酷なコースを自分たちの力だけで完走する。そんなイベントです。
ロングライドイベントじゃない
普通のロングライドイベントに出たことがあって、それをそのままイメージしていると痛い目にあうし、おそらく文句も言いたくなるでしょう。
前もってイベントを完走するために準備をしたり、「どんな方法でいくのか・チームジャージはどのジャージで揃えるか・小物は?」みたいな。
そしてチームで練習もしなけりゃいけないし、あとはグラベル未経験であれば経験をしておいたほうがいいでしょう。というふうにかなり手間がかかります。↓普段は絶対走らないようなこんな道も走ります。
実はこのグラベルがめっちゃ楽しいんですけどね。そして準備でもめたりするかもしれないけど、結局これも終わってしまえば楽しい。すごく楽しい♪
エイドステーションもほとんどありませんし、怪我をする人もいるかもしれません。雨でも走りますし、心が折れる激坂もあります。全部自分の責任で進んでいくのが、prestigeなんです。
結構prestigeに対して、「サポートが少ない」とか「エイドが少ない」とか「ルートにコンビニがない」とか問題視している人の話を結構耳にしますが、そういうのが不満な場合は参加しないほうがいいと思います。
自分で調べて、ちゃんと準備してそれも含めて楽しめるのがprestigeの良さですね。
だからこそゴールした時は、大人になってからは経験できないぐらいの嬉しさや感動を味わうことができます。
Team32805の成り立ち
僕はTaem32805というチームで参加しました。
このチームが結構特殊で、prestige前日に現場で初めて会うメンバーが2人もいるという、珍しいチームです。しかも3人が北海道民から、2人は関西人で構成されています。
チームのベースは7月のニセコクラシックという北海道で行われたレース参加した時に、instagramで知り合った北海道のパンチャー が作ったチームです。
北海道のパンチャーが書いたprestige reportもあるのでこちらもどーぞ。
初めてだけど初めて会った気がしない
3•2•8•0•5 start!! この写真1番好きかも。ありがとう。いのさん。 Photo:@ino.daisuke #rpnasu #raphaprestige #ccosk
ryusuke_kanekoさん(@archaeopteryx_ryusuke)が投稿した写真 –
スタート時の集合写真。
僕はこの写真が一番気に入っているんですが、この時メンバーの2人は、初めて会ってから12時間経ってません笑
でもfacebookメッセンジャーで、めちゃくちゃ話したんです。準備をする段階でかなりのコミュニケーションが必要なんです。会社の同僚なんかより、絆は深まっていたと思います。これもprestigeならでは。
北海道のパンチャー 鉄人ホーリー 小人族ミヤケン 余裕子 自称ルーラー(俺)の5人です。
僕はお世辞は言わないんですが、余裕子さんは北海道のパンチャーに聞いていたより、すごく可愛らしい女性だったのを覚えています。
Prestige Nasu
今回参加したのは那須高原のラフォーレ那須がスタートでありゴールの、PrestigeNasuです。
振り返って考えてみると、
- 那須高原の景色や深い山を楽しむ幸せ感と八溝山の絶望を味わう第一章
- RaphaPrestigeを象徴するグラベルを堪能する第二章
- 主峰「那須岳」30km 1400upに挑む最終章
という3部作だったような気がします。ただ単にチェックポイントで僕の気持ちが区切られているだけ感もあります笑
9月10日6:10 スタート
prestigeはレースではないので、1チームずつ2分間隔でスタートします。
5:30にブリーフィング 6:00から各チームスタート
6:00ぴったりのトップでスタートするのが「ChanNu Cycling」 このチームはかなり有名なチームで、Raphaとのつながりもあるので、トップスタートは政治的な力が働いているとかいないとか、的な。
↑「ChanNu Cycling」
少しスタートは遅れたけど、順次2分ごとにスタートして、僕らは6番目の6:10スタート初めてのprestigeに僕の心はうわつきながらスタートします。
結局、蓋を開けてみると、ちゃんとgarminのマップ機能を使えてる人が僕しかいないという事態。ん?僕も、まだgarminに慣れてないんですけど。
ただ1人はキューシートで案内してくれたので、前を走ってもらいながらgarminのMAPに慣れてみる。たまに前を引きながら「このぐらいのスピードでいいのかな?」とか「道は合ってるかな?」とか「ってか俺が前を引いてていいの?」とか少しの不安も混じりながら進んでいく。
こういうのは、会ったことがあって一緒に普段からライドをしているチームなら問題ないと思うけど。
そうこうしているうちに参加チームの1チームのRough Rordiesが追いついてきた。Rough Rordiesは関西のチームでメンバーの1人のEitaは動画職人である。
いつも一緒にライドをすると、思い出が詰まった動画を作っているので楽しみだったりする。
そのEitaが作った、動画がこちら↓
2016.09.10 Rapha Prestige NASU from Eita on Vimeo.
あーこの動画を見てるといい感じでロスれますね。次のprestigeまだ?
1つ目の主峰 八溝山
ここまでもアップダウンはあったけど、しっかりとした骨のある山の1つ目が八溝山(やみぞさん)。
距離6.5km 獲得標高580m 平均斜度9%
こうやって見たら結構斜度きついな。
さーて登るぞ!って思ってギアをインナーローに入れると、リアでチェーンが内側に落ちるトラブル発生!そういえば写真撮ってなかったな。
メンバー3人には先に行ってもらって北海道のパンチャーだけ帰ってきてくれた。少し調整をしてもらってリスタート。そこからチェーンは1度も落ちずに最後までいけた。Thanks Puncher!
ただ長い時間止まってたので、結構離れている。一気に踏んで追いかける。10%近い斜度をどんどん追いかけるから、めっちゃしんどいけどなんとか追いついた。
そこからはゆーっくりゆーっくりペースを合わせて登っていく。この山は結構楽しい。つづら折れでどんどん登っていく。でも10%ぐらいで安定しているからそんなに辛くない。
すごくいい道!#rpnasu #roadbike #rapha #ロードバイク
yukoさん(@yuko97xa)が投稿した写真 –
踏めば踏むほど、テンションが上がる山でいい感じ。
いつも限界ギリギリで追い込んで登っているのと違って、すげー楽しい。山って楽しいんだ。
いろんなチームとすれ違いながら登っていく、みんなprestige参加者だから気軽に話し合いながら登っていく。この一体感はすごくいい。
そして北海道のパンチャーは前に後ろにアタックかけまくりながら写真撮っている。さすがパンチャー。
でももっと写真を撮っておけばよかったなと、もしくは動画撮って俺も動画職人になろうかな。白枠をつけてオシャレっぽい写真をinstagramに上げようかな。
そんな中、関西人を含む3チームが集まるタイミングがあった。
やっぱり関西人はよく喋りますね笑
みんな楽しそうに登っているけど、実はここは10%ぐらいだったと思う。
でも楽しいから全然足が回るし、10%超えてるなんて感じなかった。登っていくごとに看板があって、残り5km…3km…2km…1km…500mって減っていく、「終わってほしくないなぁ」って山を登ってて思ったのは初めてで新鮮でした。これもprestigeだからこそかな。
八溝山を登り切ればCP1に到着
prestigeではよくCP1とかCP2とかって言います。これはCheckPointの略でいくつかチェックポイントを通過しなければいけません。
CPでは簡単なエイドもあって、そこで出たコーヒーがマジでうまい!
CP1 coffee break これからグラベル☆ #spokescyclegarage #raphaprestige #rpnasu
Spokes cycle garageさん(@spokescycle)が投稿した写真 –
CP1からCP2はグラベルと平坦路
CP1からCP2にかけては当初は3箇所のグラベルが用意されていましたが、一番過酷な3つ目が台風などの影響でカットされその変わりに平坦路が用意されていました。
3つ目のグラベルをみることができなかったのは残念だけど、僕は平地好きなのでそれもよし。
もともとグラベルは特に好きではなくて、「いやアスファルト走ろうよ」とか言ってたけど、prestigeに出てわかった。
グラベルは楽しい
下りでブレーキに手をかけずに「わーきゃーーー」といくと非常に楽しい。緩斜面の下りであればギアをかけるとなおヨシ。仲間がいればすべてヨシ。
そして平坦路
まぁ平坦路なのでドラマはあんまりないですが、ずーっと引いてて疲れてきたので北海道のパンチャーに代わってもらおうかと思ったら、北海道民は暑さでバテてた笑 関西人からすれば、
うそっ!こんなに涼しいのに!
って思いながらも、前引くのは嫌いじゃないしむしろ好きだからヨシ。仲間がいればすべてヨシ。
前を引いてたらどんどんテンション上がってきて、猪突猛進してたらCP2を通り過ぎてた。後ろから「あれCPじゃないの?」って声かけれてやっと気がつく。1人だったら確実に通り過ぎてました。
ということでCP2到着
CP2設置完了! #rapha #raphaprestige #RPNasu #那須町役場
Takashi Suzukiさん(@sususio)が投稿した写真 –
最終章 主峰「那須岳」
CP2をすぎればあとはゴールを目指すのみ。ただその前に立ちはだけるのは、主峰「那須岳」。
CP2から徐々に登り初めて、那須岳山頂までほぼずっと登り。その距離は30km。獲得標高は1400m。
斜度は緩めなんだけど、距離長いし結構登る。ただ延々と登る。ひたすら登る。ずーーーーと登る。弱い人間の心を折るには十分な時間を必要とする登りです。
たぶん完走者の中にも1人では心が折れて登りきれない人もたくさんいるはず。あとから聞いた話ですが、牽引したり押したりしながらなんとか山頂に辿り着いたチームもいたようです。
そしてこの長い登りは、チームにとっても最難課題になり得るだろうなと思って登っていました。というのも登りはペースを合わせるのが大変だからです。自分のペースで登るのが一番楽だから、足がある人は先行してしまう。
八溝山でも「先行しすぎー」って叫び声が聞こえてきてたなぁ。その言われた本人は「足緩めたら登れないし」って感じでどんどん登ってたし、喧嘩になるチームもあるだろうね。
っていうことを考えられるぐらい、この長い登りは結構暇です笑
でもレースでもないから、これ以上はペースも上げられないし、たぶんペースあげたら死ぬ人がでるからこのままのペースで進む。
でもさこれもチームで走っている感があって非常に楽しい。
途中「頑張れよー」って言われながらprestige参加者2人に追い抜いて行かれた。負けず嫌いの俺はここでスイッチが入りかけた。「おめーより俺の方が速い」
prestigeじゃなかったらあのタイミングで僕は確実に先行していたと思う。でも今日はprestige、チームプレイをしてる俺の勝ちと思ってスイッチを入れずに。そしてそれが純粋に楽しいと思いながら登ってた。
そして勝ったと思えた笑(勝たなきゃやだ)
もうここまでも1日中そうだったんですが、なんか幸せ感が溢れてきて抑えられなくなって「あーーprestigeって楽しいなぁ」って30回ぐらいは言ってた。マジで幸せ感が半端なかった。
って思ってたけど、北海道のパンチャーのブログでは、
はっきりと眠いわけじゃないんだけど、あくびが出て、全身重い。
5人の最後尾を走っていても周りが全員速く感じます。
皆疲れが出ているのか、沈黙が長い…あれ、やば、止まりたい。
ねえねえ、みんなキツくない?
そろそろ休憩したくない?
一番弱いのって、オレかい?聞けない…「前半で無駄な動きしてたからだろ」って怒られそうだし。
それにあまりゆっくりしている時間もない。眠気覚ましであんなことやこんなこと、
結局具合が良くても悪くてもいろいろ無駄な動きをしながら
獲得標高を1m、また1m上げていきました。チョロチョロしてごめんなさい。時々、大阪のルーラーが「Prestige楽しいなあ~!」と叫びます。
今思うとすごく無駄っぽいこの叫びは、実はメンバーのパワーを上げるのに
一役買っていました。チームプレーってすごい。( ※IBRIより引用)
無駄な叫びは一役買っていたようです笑
おそらくこのパンチャーはうちのチームで一番走力があるメンバーです。体力についてはブルベ1200を完走している鉄人ホーリーがいますが、走力はおそらく一番。
その走力を持つ彼は、僕の目から見ても辛そうでした。彼が写真をたくさん撮ってくれたことには感謝してます。でもまぁ大丈夫だろうと思って放置しておきました笑
教訓としてprestigeではよほど体力がないと、写真を撮る側にまわっちゃいけません。たぶん後半死にます。この北海道のパンチャーみたいに。
それでもパンチャーは元気。いろいろ注文をつけながら写真を撮りました。
Yosuke Suzuki いぶりのりさん(@nobogo2)が投稿した写真 –
僕はあまり写真を撮らない人なので、なかなかこういうところで止まりません。でも彼がこうやって足を止め誘ってくれたことで楽しい写真を残すことができました。
これからは足を止めて写真を撮る練習をしてみます。
本題に戻ります。
少し下りを挟みながら(登ったのになんで下るねん)徐々に頂上を目指します。だんだんと頂上に向けて斜度も強くなっていき、だんだん辛くなっていきます。なんかいいねぇ。この過酷感。追い込まれていく感。
山頂はまだまだだなと思っていたら、人が集まっている場所が見えてきた。話を聞くと天候などの影響で最後の2kmが短縮されたらしい。
メインディッシュだと思うとちょっと残念ですが、十分楽しかったからもういいでしょう!事実上の山頂到着です!
達成感がすごいあって、めちゃくちゃ嬉しい。
あとは一気に下ってゴールだけ!
「最後まで気をつけてくだりましょう」って声をかけくだりましたが、たぶん僕が一番スピード出していたと思う。あとから見たら70km/h超えてたし笑
下りきったらラフォーレ那須までの数百mは平坦路。
かみしめるようにペダルを回しながら、ゴールに近づいていく。
嬉しいけど、終わってしまうのが寂しい気持ちと交差してなんとも言えない気分でゴール。やっぱり嬉しい。
僕はもう次のprestigeを始めてる
今回、初めてprestigeに参加して本当に楽しかった。
マジで楽しくて、帰りのクルマの中で「次のprestigeまだ?」って10回ぐらい言ったのを覚えています。クルマの中でprestigeロスってるのは僕だけではなかったようで、RoughRardiesの「走行距離より獲得標高」という名言を残している女史は「明日から私はどこを走ればいいの?」と悩んでおりました。
僕はまたレースモードに入れ替えていますが、またprestigeの時期になれば全力でprestigeを楽しもうと思います。
そのために次の参加チーム作りをもう始めています笑
次のprestigeも必ず参加します。
こんな素敵なイベントを開催・運営していただいているRaphaの皆さん、コースを引いていただいたNASU ALL STARSの皆さん、そして一緒に走ってくれたチームメイトと一緒に参加したほかチームの皆さんに感謝します。ありがとうございました!
本当に楽しかった!